ふしぎなたけのこ 松野正子 さく 瀬川康男 え
こいつはSFだ!(いや、マジで)
・・・むかーしの一時期、国語の教科書に掲載されたりなんぞもしてましたが。
では以下、あらすじを。
時代は中世(ぐらい?)。
山奥の、とある村。
そこは海産物に全く縁がないので、名産は筍、祝い事の御馳走も、やっぱり筍。
おまえの誕生日の宴に出すから掘ってこい、といわれた主人公の少年が、
作業のため上着を脱いで、手近に伸びてるたけのこに引っ掛けておいた。
と、上着を引っ掛けたまま、そのたけのこがグングン伸び始めた。
こりゃいかんと飛びつくが、少年をのせたまま、たけのこは、なおも伸び続ける。
とうとう雲の上まで行ってしまい・・・
探しに来た大人たちが事情に気が付いて騒ぎになり・・・
たけのこを切り倒して助けることになり・・・
・・・倒れて少年が落ちた地面は、なんと砂浜だった!
たけのこを辿って来た村人たちは少年と海産物を得て、
たけのこは山奥と海を結ぶ大事な行路になった・・・。
いやあー、なんというダイナミックな(ほら吹き男爵的スケール感ともいうか)設定!
最初に読んだ幼少の頃から、その「もしかしたら、あり得るかも」くらいな塩梅の、ちょうどいい荒唐無稽さ。
そう、まさにこれぞSF的爽快感をもたらす読後の感覚ですよ!
話の最後が、繁栄をもたらした形のハッピーエンドで終わっているのも良い。
たとえ読んでて脳内BGMが「まんが日本むかしばなし」になってしまっても、
この本の神髄は立派なSFなのだ。
※個人的な蛇足。なんで自分の誕生祝いなのに、その話題そっちのけで宴会されて、
ぽつんと膝抱え座りしてて、それでもその偉業の原因は正に自分にある、
そう気が付いているのか、さびしそうに笑っている少年の描かれたカットに、
授業中に憤りをおぼえた・・・、そんな難儀な小学生でしたなあ(笑)。