関心空間の糞袋

関心空間から移行した内容(当時の不完全な記録)

リズーム  イシュトバン・バンニャイ 著

こいつもスゲェ絵本だ! ・・・説明文は一切ナシ。めくって左側のページは、ずっと黒一色。で、右ページに、一見、印刷の一部を拡大し過ぎて、輪郭がかすれてちぎれかかったような、それでいてちょっと神経質なくらい繊細で精密で写実的な線で描かれた、すごく鮮やかでハッキリした色づかいで濃淡のグラデーションが殆ど無い、ああそうそう、日本でいうと鈴木英人さんをもっともっとシャープにしてもっと原色調の色づかいで彩色したような、いかにも”イラストレーション”って感じの絵が配してある。 そして、絵がどんどん”ズーム・アウト”、つまり引いていく、遠ざかっていくのだ。最初は拡大し過ぎて何か解らなかった形が次のページでは、どうやら別の全体図の一部分である、というのがわかる構図になり、ところがその次ではそれが「誰か別の第三者がみている絵の一部分でしかない」ことになり、ところがところがそれもまた「「誰か別の第三者がみている絵の一部分でしかない」ことになり」、ところが「ところがところがそれもまた「「誰か別の第三者がみている絵の一部分でしかない」ことになり」」、・・・以下それの繰り返しなので省略(笑)。 で、ラストはちょっともの哀しい終わりかたをするのだ。 「”ミニチュアハウスの屋根を開けて中を覗きこむ僕”を、また上から覗きこんでいる僕」みたいなイメージ(誰が最初に描いたのか忘れた)と同じアイディアともいえる。しかし決定的に違うのは、場面がどんどん前と変わっていく=同一世界という関連性が絶たれることによって、感情移入している自分の立場が次々に裏切られて不安になっていくような気持ちになる、諸行無常・盛者必衰(オオゲサ)な面持ちを抱いてしまう、のがスゴイところだ。 やはりカッコイイ絵本(作者に絵本というつもりはないのかもしれないが)である! ※例によって図書館で出会い、探しまわってネットオークションの中古で入手したのは翔泳社版のものだが、 「復刊ドットコム」でおなじみのブッキングから最近再版されたほうを詳細情報に記しておいた。 の画像